日時 | 2024.06.08(土)10:00 - 16:05 |
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場所 | |
参加費 | 無料 |
その他 | 各講演の概要を下のリンクより閲覧できます。 |
メイン会場
メイン会場
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国際医療福祉大学 副学長/東京大学大学院 特任教授
小室一成 先生
順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科 教授
南野 徹 先生
金沢大学附属病院 循環器内科 助教
多田 隼人 先生
神戸大学大学院医学研究科 立証検査医学分野 特命准教授
杜 隆嗣 先生
小室一成 先生Issei Komuro
国際医療福祉大学 副学長/東京大学大学院 特任教授
学歴・職歴
南野 徹 先生Tohru Minamino
順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科 教授
学歴・職歴
多田 隼人 先生Hayato Tada
金沢大学附属病院 循環器内科 助教
学歴・職歴
杜 隆嗣 先生Ryuji Toh
神戸大学大学院医学研究科 立証検査医学分野 特命准教授
学歴・職歴
座長
小室 一成 先生
(国際医療福祉大学 副学長/東京大学大学院 特任教授)
わが国は超高齢社会となり疾病構造が変化し、加齢に伴って発症する心不全や心房細動などの循環器疾患患者が急増している。とりわけあらゆる循環器疾患の終末像である心不全は患者数、死亡者数とも増えており大きな問題となっている。心不全の治療は、薬物療法、非薬物療法とも進んでいるものの、多くの治療法は、心臓を保護する、心臓の代替をするといった対症療法にとどまっており、がんのような発症原因に基づいた分子標的治療ができていない。循環器疾患は遺伝要因と多くの環境要因が複雑に絡み合った”超複雑系“であり、その病態の解明は容易ではない。特に心不全は、極めて多くの遺伝要因と環境要因が関与して発症するばかりでなく、最終的には心臓の収縮弛緩といった動的な問題を解決しなければならないため一層難問である。しかし近年のデータサイエンスの進歩により、どの疾患よりも豊富な情報をもつ心不全を含めた循環器疾患の病態解析が可能な時代になってきた。
南野 徹 先生
(順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科 教授)
加齢に伴って生活習慣病の罹患率が増加し、その結果、虚血性心疾患や脳卒中の発症の基盤病態となっている。健康寿命を短縮しているこれらの疾患は、多くの高齢者において共通に認められることから、老化の形質の一部として捉えることができる。すなわち、これらの疾患の究極的な治療のターゲットは、寿命を調節する仕組みそのものかもしれない。このような現状で、老化・寿命のメカニズムの解明に関する研究は、最近20年間で飛躍的な進歩を遂げている。老化のメカニズムについては諸説あるが、そのひとつが「細胞老化仮説」である。加齢や過食などのメタボリックストレスによって、様々な組織に老化細胞が蓄積し、それらが分泌する炎症分子による組織障害や組織再生能力の低下によって、臓器老化・個体老化が進むというものである。実際我々はこれまでに、血管や心臓、内臓脂肪組織に老化細胞が蓄積することで、それぞれ動脈硬化や心不全、糖尿病の発症・進展に関与することを明らかにしてきた。さらに最近、老化細胞除去(Senolysis)によって、病的老化形質が改善することが示されている。そこで今回は、老化細胞を標的とした抗老化治療(Seno-antigen, Seno-anergy-related molecules)の可能性について議論してみたいと思う。
多田 隼人 先生
(金沢大学附属病院 循環器内科 助教)
動脈硬化性疾患は我が国のみならず世界においても主たる死因でありその克服は極めて重要である。動脈硬化性疾患の最大のリスクファクターとしての脂質異常症は遺伝しうる形質であり、その予防や治療を目的とした遺伝学研究が展開されてきた。また脂質異常症はまさに動脈硬化性疾患の単なるリスクファクターに留まらず、原因の一つである。本講演では家族性高コレステロール血症(FH)について、本テーマに最もふさわしくかつ高頻度の単一遺伝病について、研究としてのゲノム医療から、まさに診療としてのゲノム医療の実践についてご紹介するとともに、類似の原発性脂質異常症および動脈硬化性疾患に対する超精密個別化医療を目指す取り組みの現状をご紹介したい。また、いわゆるポリジェニックリスクスコアと呼ばれる遺伝的多型情報に基づく超精密個別化医療についての現状ならびに今後の展開をご紹介する。
杜 隆嗣 先生
(神戸大学大学院医学研究科 立証検査医学分野 特命准教授)
世界に類を見ない速さで超高齢化社会を迎えたわが国において、健康寿命の延伸は喫緊の課題である。介護を要する状態の主たる原因である循環器病への対策として、我々は産学連携を通じて高比重リポ蛋白(HDL)機能評価法の開発に取り組んできた。LDLコレステロール低下療法後に残存する心血管病リスクの一つとして低HDLコレステロール血症が挙げられるが、近年、HDLは量のみならず質も重要であることが示唆されている。しかし、確立されたHDL機能評価法は現存せず、HDLを標的とした予防・治療戦略を構築するうえで障壁となっていた。そこで我々は臨床応用が可能な新たなHDL機能指標としてコレステロール取り込み能(Cholesterol uptake capacity: CUC)を提唱し、臨床的有用性を示してきた。さらに最近、高い再現性を有する完全自動化測定システムの完成によりCUC評価のハイスループット化が実現し、リアルワールド・エビデンスを構築できる環境が整った。一方、これまでの産学共創で培ったノウハウを活かし、新たなバイオマーカーの探索・検査法の開発にも取り組んでいる。また、疾病対策において正確な現状把握は不可欠であり、兵庫県の淡路島において超高齢化社会における心不全診療の課題を知ることを目的とした前向き観察研究としてKUNIUMIレジストリーを行っている。本レジストリーにおいて新規バイオマーカー・検査法の有用性を検証することにより、いち早く社会実装へと繋げていくことを目指している。
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